今回は「Z世代」です。

 いつの間にか浸透した感もあり漠然と使われていますが、バブル世代の私がまとめてみました。

 どうぞ、気楽に読み流していただけると幸いです。

【そもそもZ世代とは】

語源はいろいろ諸説あるようですが、有力な説はアメリカ生まれの言葉のようです。

そして、X世代(ベトナム戦争終結後頃までに生まれた世代1965年~1980年生まれ)・

Y世代(1981年~1990年代後半生まれ)と続いてZ世代(1990年代後半~2012年生まれ)が生まれました。今、見渡すと10代前半からおおよそ25歳ぐらいまでをZ世代と呼んで差支えないようです。

では、今までの若者と何が違うのでしょうか?一括りにZ世代として特徴を探ること自体若者から非難を浴びそうですが、価値観や考え方を少しでも知ることで、互いの認識を深められればと思います。

【タイパを重視する】

Z世代を知るうえで「タイパ」は外せません。ご存じでしたか?「タイパ」

???「タイパ」とは「タイムパフォーマンス」の略で、かけた時間に対する満足度を表す言葉です。

今の時代はネット社会の展開とデジタルコンテンツの拡大の最中にあります。つまりは情報過多、容易に様々な情報がそれこそ世界中から手に入る時代です。しかし人間として時間は平等に限られています。Z世代は生まれた時からその状況下で生きる上での最重要事項として「タイパ」を自然と意識するに至ったのでしょう。

【動画も授業も倍速で】

 その「タイパ重視」の実態を知るデータとして損害保険ジャパン株式会社が本年9月に行った「若者の動画視聴実態」という調査があります。

Z世代の動画視聴の実態についての調査なのですが、18~57歳の男女800人に動画視聴について調査をしたところ、Z世代が快適に感じる動画の再生速度(倍率)の平均は「1.5倍速」であることが分かりました。また、1秒あたりのセリフの文字数で換算した場合、Z世代は「12.3文字」、他世代は「10.1文字」で、他世代の約1.2倍のセリフ量をストレスなく理解していることも分かったそうです。

また同調査によると、「1日あたりの動画視聴時間」は平均で「2.1時間」。世代別でみると、Z世代の「2.9時間」に対して我々バブル世代では「1.6時間」と、若い世代ほど動画の視聴時間が長い傾向が判明しました。

毎日3時間近くも動画視聴していることにも驚きですが、その動画について、「倍速で動画を視聴しますか」と聞いたところ、Z世代で70.0%が「倍速視聴している」と回答。いわゆる早送りです。Y世代の私にはこれはもはや処理能力向上の訓練にも思えます。いや実際に高い処理能力を養っているのでしょう。最近の学習塾では1.5倍~2倍速の動画で授業をするケースも増えていると聞きます。オンライン授業などが当たり前になった今、「得られる情報が同じであれば、少しでも短い時間で情報を得たい」との声もあるようです。教える側も学ぶ側も倍速な時代なのです。

また、動画の倍速視聴をするZ世代に「倍速視聴する理由」を聞いたところ、「時間がもったいないから」(51.9%)、「他の動画も視聴したいから」(48.1%)、という結果になっていたといいます。まさに「タイパ重視」な訳です。

有意義な時間の使い方「タイパ」を考えるのは、Z世代だけの課題ではありません。少子高齢化の昨今、人材確保の視点からこのZ世代に近づくためのヒントもあります。

【SNSで就職活動】

Z世代の就活生が知りたいことは何でしょうか。採用マーケティング支援を行う「No Company」による就職活動時のSNSやWebサイトの活用実態についての調査によると、Z世代の就活生が最も知りたいと思っている企業情報の1位は「1日の仕事の流れ」だったそうです。

 2位「福利厚生」、3位「社内の人間関係」、と続くのですが注目すべきはその手法です。

「最小の労力で最大の成果を得る」ことを重視すると言われているZ世代にSNSで情報収集をすることがあるかと聞くと、57.2%が「ある」と回答し、半数以上に上っています。SNSに抵抗なく、ソーシャルメディアでの情報収集を重視する特徴のあらわれと想像できます。

ではどのSNSやメディアで企業に就活情報を発信してほしいかを尋ねると「Twitter」と回答した就活生が最も多く63.1%だった。次いで「YouTube」(47.5%)、「Instagram」(44.1%)と続きました。

いかかがですか?Z世代が求める情報発信ツールを使っていますか?

この「Twitter」「YouTube」「Instagram」と聞くと、従来の募集要項や求人票のような活字媒体でなく、しかも比較的「生の視覚情報」から感覚的に伝わるものを、就活生は見ているようにも見えます。

 それでは、知りたいことの2位にも挙がっている「福利厚生」。Z世代はどんな福利厚生を望むのでしょうか。

【福利厚生の充実度】

ここからはマイナビ「2023年卒 就職活動における価値観に関するアンケート」より抜粋します。

「福祉厚生の充実度に惹かれて入社を検討した企業はありますか?」と聞いたところ、

[文系]ある 69% ない 31%

[理系]ある 72% ない 28%

また「福利厚生の充実度によって志望度は変わりますか?」との問いに

[文系]大きく変わる 48% 少し変わる 44%

あまり変わらない 8% 全く変わらない 2%

[理系]大きく変わる 42% 少し変わる 51%

あまり変わらない 6% 全く変わらない 0%

 福利厚生の有無ではなく当然のように充実度で左右される時代なのがわかります。では何を一番に求めているのでしょうか。就職活動で重視する企業の福利厚生・各種制度はどのようなものでしょうか?

その内容は以下のようになっています。

23.1% 土日祝日以外の休暇制度

17.1% 育休・産休制度などの子育て支援制度

15.9% 住宅手当

14.5% 資格取得補助などの自己啓発補助

9.2% 社員寮や社宅制度

6.0% リモートワーク制度

5.3% 退職金制度

3.2% 健康増進に関する制度

2.4% 副業・兼業が可能か

1.9% 重視している制度はない

0.9% レクリエーションに関する補助

溜息やブーイングも聞こえてきそうな気もしますが、現実的にはすべてではなくとも、この中のいくつかには対応していないと、他社との差別化はおろか格差をつけられてしまうことになりかねません。是非ともZ世代に刺さる福利厚生の充実を図ってください。

とは言っても「大企業しか充実させられないでしょ」と思うかもしれません。つぎの調査結果をご覧ください。

【安心して働ける環境が一番】

Z世代の企業を選択するポイントの上位3つは以下のようになっています。

1位 43.9% 安定している会社

2位 32.8% 自分のやりたい仕事(職種)ができる会社

3位 19.1% 給料の良い会社

この1位の「安定している会社」が企業を選択する際には重要視され、さらに「企業に対して安定感を感じるポイント」を聞いたところ、設問の回答上位3つは以下のようになっています。

1位 安心して働ける環境である

2位 福利厚生が充実している

3位 業界大手である

 と福利厚生よりも「安心して働ける環境」が上位になっています。

ここから更に「安心して働ける環境のイメージ」について突っ込んだところ、その回答は以下のようになっています。

21.9% 社風が自分とあっている

19.4% 福利厚生・各種制度が充実している

13.2% 社員同士の仲がいい

9.2% 研修が充実している

8.9% 転勤や移動が少ない

 この結果を見ると決して企業規模だけにとらわれない、出来ること・やっていないことが見えてきそうに思われます。「社風」や「社員同士の仲の良さ」など大企業にもない高評価点があるはずです。Z世代はそこに関する情報も欲している=重視していると言えそうです。SNS等の発信の工夫次第でダイレクトにアピールも可能な時代です。企業のDX化などと大掛かりな言葉の響きですが、是非発信のIT化ご一考ください。

 いつの時代も若手社員や新入社員は「理解できない」と言われます。かつての我々もそう言われたはずです。時代は進んでも後進に追い抜かれることなく、前を走りたいと願うリーダーにとっては、若いZ世代に上手く対応することこそが、時代に対応するということに他ならないと言えるのではないでしょうか。

「タイパ」を重視するZ世代です。ウチの娘がなんだか携帯で色々やっているのも、息子が極端に偏った知識を持っていたりするののも、学生さんが仕事内容も知らないのに面接でいきなりテレワークの有無を聞いてくるのも・・・なんとなく理解できますね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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