今回は、確認事項として「賃金」をテーマにお話をします。

  • 「賃金」と言えばまずは平均賃金の引上げ全国平均時給961円に

奈良県では866円から+30円の896に引き上げられたことは既にご存じのことと思います。金額を知っているだけではなく、今回はその確認を今一度おすすめします。

たまに「最低賃金はパート・アルバイトの時給の人の話で、正社員の月給だと関係ない」と誤解されている人がいますが、違います。雇用形態はもちろん、賃金の支払い形態に関係なく最低賃金は適用され、時給の人の確認は容易であるということにすぎません。

  • 一度確認しましょう

 では順番にお伝えします。

  • 各種手当について以下のものは計算に含みません

・臨時に支払われる賃金

・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

・時間外、休日・深夜労働の割増賃金

・精勤手当、通勤手当及び家族手当

    支給された賃金からこれらの手当を除いたものが計算のもととなる賃金額です。

    よくある資格手当は毎月の給料と合わせて支給されるのが一般的なので基本的な賃金とみなされるので計算上含みます。

参考「最低賃金の対象となる賃金」

  • 月給制の確認

月給制の場合、月給を1か月の平均所定労働時間で割って時給換算し最低賃金と比較します。

月給÷1か月平均所定労働時間≧最低賃金額

  • 固定残業代の確認

所定労働時間を超える時間外の賃金は最低賃金の対象となりませんので、月給に固定残業代が含まれる場合は、月給から除外し時給換算し最低賃金と比較しますが、固定残業代の自体が最低賃金を下回っていると違法になります。そのため固定残業代が最低賃金以上になっているか確認が必要です。

固定残業時間が1日8時間、週40時間までの法定労働時間外とすると割増賃金率が適用されるため以下の計算確認になります。

固定残業代÷(固定残業時間×1.25)≧最低賃金額

  • 出来高払いの確認

出来高払いあるいは請負制の場合は、賃金総額を総労働時間で割る計算方法で時給当たりの金額にし最低賃金と比較します。

賃金の総額÷総労働時間≧最低賃金額

  • 日給制の確認

日給制の場合は、支払われる日額の賃金を1日の所定労働時間で割って時給を計算し最低賃金と比較します。

日給÷1日所定労働時間≧最低賃金額

  • 複合型の場合

基本給は日給で、職務手当などの手当が月給制で支払われる場合などは、基本給と手当をそれぞれ時給換算し、合算した額と最低賃金を比較します。

基本給を時給換算した額+各手当を時給換算した額≧最低賃金額

いかがでしょうか、総支給額で一見すると最低賃金をクリアできているように見えて、実は下回っていたなんてことにならないよう内容をチェックしましょう。

  最低賃金法第40条には、地域別最低賃金以上の給与を支払わない場合には、50万円以下の罰金に処すとありますし、過去3か月から最長2年分を遡って最低賃金との差額を支払わなければならなくなります。

ここまで当たり前のようにお伝えしてきました賃金の支払い形態についても、一度おさらいしておきましょう。

  • 賃金の支払い形態

給与形態には、時給制、月給日給制、日給月給制、完全月給制、日給制、があります。

  • 時給制

時給制は、労働時間に時給単価をかけて給与の額にしている給与形態です。

時給制は働いた分だけ給与になります。

(2) 月給日給制

    月給日給制とは、決めた給与の月額があり、遅刻・早退・欠勤などがあった場合には、その分を月額から減給するという給与体制です。

月単位で支給される職務手当や役職手当は日割控除せず、固定給だけが控除対象になります。

(3) 日給月給制

   日給月給制とは、1日を計算単位として給与の月額をあらかじめ決め、遅刻・早退・欠勤などがあった場合には、その分を月額から減給する給与体制です。

   日給月給制は基本になる月額は決まっているので、休まなければ給与は変わりません。

(4) 完全月給制

   完全月給制とは、1ヶ月を単位として賃金が固定されている給与体制です。

   遅刻・早退・欠勤があっても給与額が変わらないのが特徴です。

(5) 日給制

   日給制とは、1日を計算単位として定められた額(日額)を支給する給与体制です。

   働いた日数によって給与が決まるのが特徴です。よって働く日の多少により給与額が変わります。

月給制、完全月給制については、会社によって言い方が違うだけで運用方法が同じ場合もありますので、具体的な給与形態の内容については確認が必要です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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